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三上延 著 メディアワークス文庫【ビブリア古書堂の事件手帖7~栞子さんと果てない舞台~】感想・レビュー【殺人のないミステリ】
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ビブリア古書堂の事件帖7【前巻からのあらすじ】
前巻に出てきた古書、太宰治自家用の「晩年」をめぐり、取り引きをする為に訪れた、本作もっとも警戒すべき老人「吉原喜市」
彼はビブリア古書堂の弱みを突いて晩年を高額な価格で売り付けるが、そこに、ある一冊の古書を残していく。
その本に導かれ、本作の謎解きと仕掛けに対峙する事になるのは、劇作家ウィリアム・シェイクスピアの稀覯本となる。
前巻で栞子の祖父で、智恵子の父である事がわかった「久我山尚大」
彼によって、数十年前に張り巡らされていた智恵子への巧妙な罠は、人から人受け継がれる古書と、脈々と受け継がれる家族の縁によって、栞子と大輔にも迫ってくるのだった・・・・
ビブリアシリーズ最終巻、物語はこれにて完結となる。
ビブリア古書堂の事件帖7【感想・レビュー】
プロローグ
プロローグに入る前の見開きで、主な登場人物と相関図書かれていた。
前巻で一気に重要な人物が増え、親子関係も複雑になったので一回整理して本作に入れたのは良かったと思う。
そしてプロローグは、前巻でも少し触れていた、久我山尚大の店の後継者を、智恵子が断った事が書かれている。
ここで出てくる本が本編に出てくる稀覯本なので覚えているといいかも。
それと久我山尚大の怖さも書かれているので、本編でドキドキした人は彼の印象も覚えおきたい。
そして「吉原喜市」も久我山の番頭として登場している。
第一章~歓び以外の思いは
シリーズの現時点で、ビブリア古書堂の最高額の取り引きを「吉原喜市」とする。
この緊迫する吉原と対決する場面が、終盤まで何度も出てくるので、見どころの一つ。
智恵子の母方の家族も登場で、さらに登場人物が増えるが、見開きの相関図に当てはめて確認して欲しい。
この家族が抱えている問題を栞子が解決したことにより、シェイクスピアの古書の謎解きが始まる。
第二章~わたしはわたしではない
栞子の祖母にもあたる「水城英子」の頼みで、シェイクスピアの複製本を取り返す為、再び吉原と知恵比べとなり、栞子の見事な機転が冴えわたる。
助手のワトソン役のようになってきた大輔、何気に言った一言が栞子の謎解くきっかけになったりする場面が何度出てくる。
そして、作中に出てくる、お互いがお互いの事を本当に好きなのが解るやり取りに、このずっと緊張感のある最終巻の中でホッとする一場面でもある。
ここで、母、智恵子が娘二人を置いてビブリア古書堂を去った理由も回収される。
第三章~覚悟がすべて
これが本当に本物だとしたら、世界的にも世の中に出ていないシェイクスピアの稀覯本となる古書が、吉原の策略で振り市(オークション的な物)に出される。
栞子と大輔、母智恵子、そして吉原の三つ巴の仕掛け合いは、読み応え十分で、手に汗握るものとなっている。
失敗すればビブリア古書堂がなくなるという危機的な状況で、二人が乗り越えていく姿は感動する場面でもある。
エピローグ
本作を読む前から、どんな終わり方をするんだろうと気になっていた。
あまり書くとネタバレになるので、多くは言わないが・・・・
このシリーズらしいラストとだけ言っておこう。
最後に
本当に、このビブリア古書堂の事件手帖シリーズを読んで良かった。
色々な意味でドキドキ、ワクワクさせられたし、古書への興味も少しは出てきた。
ここで一旦終わりだが、続編や関連本も出ているので、そちらもしっかり読破したいと思う。
メタトロン
よみかつぶろぐ的総評
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