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潮谷験 著 講談社【スイッチ 悪意の実験】感想・レビュー【メフィスト賞受賞作】
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潮谷験 スイッチ・悪意の実験【あらすじ】
夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。
スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。
彼は『純粋な悪』を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。
集まった大学生達のスマホには、自分達とは何の関わりもなく幸せに暮らしている家族を破滅させるスイッチのアプリがインストールされる。
スイッチを押しても押さなくても1カ月後に100万円が手に入り、押すメリットはない。
「誰も押すわけがない」皆がそう思っていた。しかし・・・・。
〈Amazon引用〉
潮谷験 スイッチ・悪意の実験【ネタバレなし感想・レビュー】
第62回メフィスト賞、潮谷験さんデビュー作を読了。
あらすじを見ただけだと、スイッチを押すか押さないかの『純粋な悪』『理由なき悪』を表した、ギリギリの心理状態を見せる作品なのかと思っていたが、しっかりとした、メフィスト賞らしいミステリでした。
終盤の真相に向けて二転三転する所は見事でしたし、登場人物それぞれの押す押さないの駆け引きとは違う、心理の変化や状態がしっかり出ていた。
特に主人公の「箱川小雪」には共感できる所もあり、ここまで特殊能力的ではないが似たような感覚になる時がある。
作中に「自分の価値をゴミ箱に放り投げる事は、無意味に人を傷つけるのと同じくらいの悪」とある。
根拠もないのに自分の所為にして、選択を諦めてしまったり、避けていたりしていたと、自分にも刺さる事が多くあった作品でした。
次回作も決定しているようなので今後も注目していきたい作家さん。
メタトロン
よみかつぶろぐ的総評